生きるものさしづくり

図書とか、山暮らしとか、思考の整理とか、時々お金との付き合い方とか。

心がフッと楽になる読む処方箋『内向型人間の時代』

人と関わるのはどうしても苦手、でも、、

こんにちは chibaです。

 

みなさん、こんな経験ありませんか?

「飲み会でトイレに立ったら、自分の席に別の人が座ってる。

新しいグループにも入りづらいし、い、居場所がない、、」

 

「人と会うのは楽しいんだけど、行く前はおっくうだし、

終わって帰るとどっと疲れるしで、けっこう体力使う」

 

「ご飯食べてるときに聞こえてくる隣の会話。

よくこんな中身のない話しをし続けられるよな」

 

「懇親、親睦と名のつく会が本当に苦手」

 

、、、すべて、僕のことです。

 

小さいころから、もの静かで手のかからない子どもだと

言われ続けてきました。

いまでも、

休日はできるだけ外出せず静かに本でも読んでいたいし、

積極的に人とあまりしゃべりたくないし、

しゃべっても聞き役に回って口数が少ない。

 

でも、

 

ずっとその内気な自分を「ダメな人間」だと思い、

エネルギッシュで雄弁で、人を巻き込み元気にしていく

そんな人間こそが「すばらしい人間」だと信じていました。

そうならなければならない、とう脅迫観念もあります。

 

その思いはまだありますが、

今の自分を全面的に肯定し、

明日へ向かう活力をくれたのが

この本です。

内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力

内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力

 

 

 

何がそんなに心に響いたのか?

一言でいうならば、

本書が

「内向型人間の存在を全面的に認めている」

という点にあります。

 

本書のなかにはたくさんの人物が登場しますが、

いずれも他人との関わり方や

内向的である自分に自信をもてずにいる方々ばかり。

また、

一見華々しく活躍している人でも、

じつは講演前にはトイレにこもったり、

独りでいることが好きだったり、

特別なプレゼン用のトレーニングに通っていたりと、

「わかる!」という共感がいたるところで発見できたのです。

 

個人主義主義主張を声高に叫ぶことこそ美徳とされる

アメリカにおいても

たくさんの内向型人間は存在している。

そんな事実も自分を強く勇気づけてくれました。

 

そして、筆者の真摯な語り口調と

豊富なケース紹介によって

非常に説得力のある内容になっていたことも

個人的にとても好感のもてる点でした。

 

 

外向型リーダーが必ずしも有能なわけではない!

雄弁に自分の主張を語り、チームを納得させ、

正しい方向に導いていく強いリーダー。

そんな存在に憧れませんか?

 

ですが、

本書では雄弁で人を巻き込むリーダーが

必ずしもいい結果を残すわけではないと語っています。

独善的な誘導によるミスリード、暴走、

他の意見を排除するによる不利益、など。

 

一方で

内向型リーダーでも有能な人物は

数多くいることを教えてくれます。

マハトマ・ガンジースティーブ・ウォズニアック、など。

むしろ、他の考えを注意深く聞き取り、

着実に物事を進めていくことは

チームや組織を危険にさらすことが少なく、

能動的な部下がいる場合にはその力が顕著に発揮されるのだそうです。

 

 

声高に意見を主張することの危険性

ひとつ目からうろこの実験結果が記載されていました。

 

誰にでもわかるような単純な問題を複数人に解いてもらう際、

普通に答えてもらう場合と

間違った答えを声高に主張するサクラがいる場合とで

どれくらい正誤率が変わるか、を比較する実験です。

 

前者の全問正解率は、95%

後者では、なんと25%!

75%もの人が、

サクラの答えに引っ張られて

少なくとも1回は誤回答をしたそうです。

 

面白いのはここから。

そのときの脳の動きを計測したところ、

意思決定を司る前頭皮質が活性化したのではなく、

視空間認知に関わる部分が活性化していたそうです。

 

つまり、

サクラの言葉によって

本来正解とわかっていながら、

人々の意志決定がミスリードされたのではなく、

そもそもの問題の見え方を変化させ、

本当にそれが正解だと思って誤回答をしてしまう

ということなのです。

 

これって、とても怖いことだと思いませんか?

 

よく漫画で描かれるようなパニック時に、

声高の主張に従ってしまう大勢の人々がいますよね。

それは、

間違っているとわかっていてその言葉に従うのではなく、

本当にその言葉が正しいと思ってしまうんです。

 

内向型人間の話しとすこしそれてしまいましたが、

それだけ何かを主張するということには

責任が生じるということでもあり、

常に肝に命じておかなければならない事柄だと感じました。

 

 

内向型人間が少しでも生きやすくなるために

本書の残念なところは、

では内向型人間が具体的にどんな風に生活をしていけばいいのか、

どんな風に改善していけるのか、という点には

あまり触れていないことです。

(当たり前といえば当たり前です。

内向型人間はある意味でそのままでいいというのが本書の内容だから)

 

ただ、

自分のできる範囲で外向的なふるまいをしていくことは

できると語られています。

その際に大切なのは、

自分が重要視する仕事、愛情のある人々、高く評価している事象のため

「コア・パーソナルプロジェクト」に対してのみ

外向的に振る舞っていけばいいのではないか、ということ。

そして、「回復する自分の場所をしっかりと確保しておく」とも。

(本書ではそれを自由特性協定と呼んでいます。

簡単に言うと、自分自身と協定を結び、

特定の条件下でのみ外向的に振る舞うということのようです)

そんな心持ちでいいんです。

自分勝手でいいんです。

そんな風に言ってもらえたような気がしました。

 

 

内向型と思われる子どもの育て方については、

かなり詳しく触れられているので、

子どもがいる方で、どうも自分の子は内向的で心配だ

という親御さんにも

ひとつの参考になるのではないでしょうか。

 

 

それぞれの孤独な旅は続きます

生きづらいと感じることは究極払拭することはできないと思います。

ですが、

いい意味で自分は自分であるという自信をもって

これからも日々を積み重ねて行けたらと思います。

 

永遠なる心、思考という奇妙な海を孤独に旅する

byウィリアム・ワーズワース